関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-174 運動スキルを言語化することの運動学習への効果
川崎翼河野正志兎澤良輔
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p. 174-

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抄録

【目的】 本研究の目的は、得た運動スキルの言語化 (話すこと) が運動学習を促進するかどうかを明らかにすることであった。

【方法】参加者は大学生18 名であり、言語化群とコントロール群に割りつけられた。2 つの球を非利き手で回す課題を運動学習課題とした。言語化群が4 分間球回しを練習した後、1 分間の球回し回数と落下回数を計測した。その後、「どのようにして球を回したか」をビデオカメラに向かって話をさせた (最大2 分間)。その後は、直後、2 分後、1 日後の合計3 回、1 分間の球回し回数と落下回数を測定した。コントロール群は、4 分間の練習後の2 分間科学雑誌を音読した。言語化群が話をしている時間はビデオを見返すことで確認した。分析は、言語化群とコントロール群のパフォーマンス (介入後の改善回数および落下回数) に対して分散分析、球回し回数と話をした時間の相関分析を実施した。統計的有意水準はすべて5%とした。本研究は所属機関で倫理審査を通しており、ヘルシンキ宣言に則って実験内容に同意の得られたものに対して実施した。

【結果】球回しの改善回数は、コントロールに比べて言語化群の方が有意に多かった。言語化群が話をしていた時間と鉄球回しの改善回数に有意な相関を認めた。

【考察】練習によって得た運動スキルの言語化は、球回し回数に表される運動速度という側面の運動学習の向上に有効となることが示された。特にその効果は、より長く言語化できた対象者に高いということが分かった。これは、言語化するために自身の運動を振り返っている(運動イメージ想起)時間の長さが運動学習に影響することが示唆された。

【まとめ】運動スキルを言語化することによって運動学習が促進された。これは、個別のリハビリテーションで得た動作を言語化するだけで、学習が強化されることが考えられ、リハビリテーション効果を高める介入になることが期待される。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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