食品衛生学雑誌
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サケ類Oncorhynchus masou masou の陸封型(ヤマメ)と遡河型(サクラマス)のアレルゲンの比較解析
嶋倉 邦嘉綿谷 ゆきな塩見 一雄
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2012 年 53 巻 1 号 p. 8-13

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抄録
サケ類のアレルギー表示は遡河型のみが対象となっている.本研究では,サケ類Oncorhynchus masou masouの陸封型(ヤマメ)と遡河型(サクラマス)のアレルゲンを比較した。SDS-PAGE分析により,主要アレルゲンであるパルブアルブミンの含量はヤマメのほうが高いことが示唆され,ELISAによる定量(ヤマメ:1.8~7.8 mg/g,サクラマス:0.28~0.52 mg/g)で裏づけられた.また,患者血清を用いたELISAでは,ヤマメ抽出液のほうが強いIgE反応性を示した.次に,ヤマメおよびサクラマスから,それぞれ3成分のパルブアルブミンをゲルろ過,逆相HPLCにより精製した.逆相HPLCにおける保持時間およびMALDI/TOF-MSにより測定した分子量から,両魚種は同じパルブアルブミンアイソフォームを含むと考えられた.以上の結果から,アレルゲン性はヤマメのほうがサクラマスより高いと推測された.
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© 2012 公益社団法人 日本食品衛生学会
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