食品衛生学雑誌
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調査・資料
PCR法によるクワズイモの同定
萩野 賀世 中野 久子清水 本武寺井 朗子大貝 真実荒金 眞佐子阿部 朋弘笹本 剛生
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2017 年 58 巻 1 号 p. 32-35

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抄録

クワズイモ(Alocasia odora)およびシマクワズイモ(Alocasia cucullata)は,東アジア原産の常緑性多年草である.食用のサトイモと外観が類似しているが,有毒のため,誤認による摂食が食中毒の原因となる.食中毒が発生し,その原因であると疑われる食品残量が少ない場合には,形態観察や成分の検出が困難なことがある.少量の試料からでも,クワズイモおよびシマクワズイモであることを同定する方法の開発を目的として,PCR法に用いる新規プライマー対の作製を行った.プライマー対作製には,クワズイモのリボソームDNA中のinternal transcribed spacer (ITS)領域の塩基配列を基にした.本プライマー対を用いたPCR法により,クワズイモとして購入したすべての試料から,目的とするPCR産物が得られ,塩基配列解析の結果,シマクワズイモと同定された.17種類の農作物から抽出したDNAを鋳型に用い,今回作製したプライマー対を検討した結果,本PCR法は,クワズイモおよびシマクワズイモに特異性が高く,その同定に有用であることが確認された.

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© 2017 公益社団法人 日本食品衛生学会
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