2019 年 60 巻 5 号 p. 151-153
食品にはオフフレーバーと呼ばれるにおいが感じられることがある.これはヒトの体に直接影響を及ぼすことはないが食品の品質を著しく低下させるものであり,食品にとって重要な問題である.ある食品のにおいが他の食品に移行する場合などがよく知られた例である.われわれは,これまで紙パックオレンジジュースの香気成分であるリモネンが未開封の状態で紙パック牛乳ににおい移りするという研究を続けてきた.その際にリモネンとは全く異なる匂いが牛乳から感じられる例が確認されていた.これは,オレンジジュース由来ではないことも確認できた.匂いの質としてはハロゲン系フェノールのような匂いであった.今回は,この匂い成分を明らかにすることを目的に研究を進めた.その結果,このオフフレーバー成分が2-ヨード-4-メチルフェノールであることが判明した.