2020 年 61 巻 1 号 p. 22-30
種々の野菜や果物(同じ科や属のものを含む計70品目)を用いて,飲料や乳製品への混入を想定した識別法について検討した.大きさ1~数mm程度の植物片からDNAを抽出し,色素体rpl16–rpl14リンカー配列(約550塩基対)をPCRで増幅した後DNA塩基配列を決定し,相同性解析およびSNP (一塩基多型)解析を実施したところ,供試植物は,近縁種間での識別が困難なものがあったが,属レベルあるいは種レベルで,38グループに分けることができた.本法は,一部の近縁種間での識別精度や酸性下でのDNA安定性に課題は残るものの,製品や原料などに混入した植物片異物の特定とさらにその混入原因究明への寄与が期待されるものと考える.