2023 年 64 巻 3 号 p. 101-107
食品用として使用される可能性のある市販ポリ袋から,溶出が想定される物質についてLC-QTOFを用いたノンターゲット分析およびLC-MS/MSを用いた溶出量の把握を行った.LC-QTOFでの分析結果から推定された溶出物質を含む14物質について,移動相由来物質と試験溶液中のターゲット物質を分離するためのリテンションギャップ法を活用したLC-MS/MS分析法を構築した.本分析法を用いて市販のポリ袋9検体について溶出試験を実施したところ,最もIrganox 1076が溶出された試料では,EUのSMLの1/4の量が検出された.その他,Erucamide,Irganox 168-oxideの溶出が確認できた.