食品衛生学雑誌
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調査・資料
国内流通遺伝子組換えとうもろこしの実態(2021年度産)および現行法の適用性に関する調査(調査・資料,英文)
曽我 慶介 田口 千恵杉野 御祐江木 智宏成島 純平吉場 聡子高畠 令王奈近藤 一成柴田 識人
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電子付録

2023 年 64 巻 6 号 p. 218-225

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抄録

日本国内で安全性審査の手続きを経た旨の公表がなされたGMとうもろこし系統は増加しているが,近年の国内流通実態については情報が少ない.本研究では,現行GMとうもろこし定性および定量検査法(以下,現行法)が流通しているGM系統を検知可能か確認するために,国内輸入量の95%以上を占めるアメリカ合衆国(USA)およびブラジル産とうもろこしの実態調査を行った.2021年度のUSA産分別生産流通管理品および不分別品各5ロット,ブラジル産不分別品5ロットについて,GMとうもろこし25種類の系統特異的リアルタイムPCRを行ったところ,検出された単系統15種類は現行法で検知可能であったが,USA産不分別品からは現行の定量検査法で検知不能な害虫抵抗性(IR)Event5307が4ロットで検出され,ブラジル産不分別品からは現行法で検知不能な除草剤耐性(HT)DAS40278が1ロットで検出された.近年のGMとうもろこし栽培面積を調査すると,USAでは95%以上がHT単系統またはそれとIR系統の掛け合わせ系統,ブラジルでは95%以上がIR単系統またはそれとHT系統の掛け合わせ系統で占められている.Event5307およびDAS40278に関する掛け合わせ系統は現行法で検知可能なことから,検知不能な系統はEvent5307およびDAS40278の単系統のみで,その生産量は生産国全体の5%未満と推定される.したがって,実行性を鑑み,GMとうもろこし表示における現行法を維持することが妥当と考えられる.

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© 2023 公益社団法人 日本食品衛生学会
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