食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
調査・資料
呈色反応によるツキヨタケの簡易鑑別法を食中毒の原因特定に利用した事例
篠原 秀幸 大河原 龍馬伊藤 育子石田 恵崇太田 康介長岡 由香
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 64 巻 6 号 p. 232-235

詳細
抄録

ツキヨタケを原因とする食中毒事例において,原因究明に呈色反応による簡易鑑別法を利用した.検体として確保された未調理キノコの子実体傘部にビーム試薬(5%水酸化カリウムエタノール溶液)を滴下したところ,一部のキノコで青緑色に呈色した.このキノコの子実体傘表皮のエタノール抽出物においても同様の反応を示した.未調理キノコに対しLC-MS/MSを用いた分析を行ったところ,各検体からツキヨタケの有毒成分の1つであるイルジンSが検出され,本事例はツキヨタケを原因とする食中毒であると断定された.以上のことから,当該鑑別法はツキヨタケ食中毒の原因究明におけるスクリーニング検査として有用であることが示唆された.

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本食品衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top