食品衛生学雑誌
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毒性物質と栄養との関係 (第4報)
生体内蓄積BHCの減少と脂質代謝との関係
大柴 恵一川北 兵蔵
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1972 年 13 巻 3 号 p. 189-194

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抄録

シロネズミにBHCを含む飼料を一定期間投与し, 十分蓄積させたのち, 脂質代謝に影響すると考えられる食餌性脂肪量, 飢餓, および脂肪動員促進ホルモンによる各臓器, 組織からのBHCの減少効果を測定した.
1) 臓器, 組織内蓄積BHCの食餌性脂肪量による減少効果はγ体に対しては有効であったが, β体に対しては著明な効果が認められなかった.
2) 飢餓による減少効果はγ体には非常に有効で, 6日間で73.3%~88.9%の減少を認めたが, β体には効果がなく, 逆に脂肪組織から動員されたβ体が臓器中に多量に移行, 蓄積し, 最初の1.9~5.4倍に増加した.
3) 脂肪動員促進ホルモン (アドレナリンなど) による減少効果は肝に対してはほとんど無効であったが, 他の臓器や脂肪組織には有効 (P<0.01で有意) であった.
以上の結果から体内に摂り込まれたBHCの臓器, 組織間の循環, 移動には脂質代謝が関係しているものと考えられる.

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