1976年から1978年まで宮崎, 佐賀, 鹿児島において17件の鯉摂取によるとみられる食中毒が発生し患者125名に達した. 中毒症状は嘔吐, 痙れん, 麻痺などで, 疫学調査により共通食品に鯉があげられ, 食べ残りの鯉をイヌに与えたところ, 人の場合と同様に発症した. この有毒鯉からの熱エタノール抽出物をエーテルに転溶しTLCを行った結果Rf値0.5~0.7 (展開溶媒ベンゼン, アセトン, 酢酸, 90+5+5)で硫酸噴霧後加熱により特異な青緑色を呈するスポットに毒性を認めた. この物質をさらに精製しUVλEtOHmax 220, 282nm, MSより分子量575を得たが化学構造などについてはなお検討中である.