緑青の主成分である塩基性炭酸銅を,70, 220, 670, 2000ppmの濃度に添加した飼料でラットを長期飼育し, 1, 3, 6, 12か月後に殺し, 血液, 肝臓, 腎臓, 脾臓中の銅, 鉄, 亜鉛濃度を原子吸光装置で定量した. 血液中の銅, 鉄, 亜鉛濃度は2000ppm, 12か月投与でも有意な変動は認められなかった. 肝臓中の銅濃度は670, 2000ppm投与群で1か月後から顕著に増加した. その傾向は雌より雄の方が顕著であった. 腎臓中の銅濃度は 670, 2000ppm投与群で有意に増加したが, 鉄濃度は逆に減少した. 結論として, 220ppm濃度以下の投与群では血液及び器官中の重金属濃度に対してほとんど影響がみられなかった.