食品衛生学雑誌
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小麦の製粉及び調理加工後における有機リン系農薬の残留
堀 義宏長南 隆夫佐藤 正幸岡田 迪徳
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1992 年 33 巻 2 号 p. 144-149

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抄録

1. 小麦中の有機リン系農薬の残留調査
小麦製粉工程及び調理加工における農薬の挙動を検討するため入手した混合小麦7試料について30種類の有機リン系農薬の残留調査を行ったところ, すべての試料からクロルピリホスメチルは0.005~0.31ppm, マラチオンは0.017~0.77ppm検出された.
2. 小麦製粉工程における有機リン系農薬の挙動
小麦に残留した農薬はふすまに約80%, 小麦粉に2~20%の残存が認められた.
3. 調理加工による有機リン系農薬の挙動
クロルピリホスメチルは, ゆでた場合50%以下まで減少したが, 焼く, 揚げるなどの調理法では50%以上の残存率を示した. 一方, マラチオンは, 焼いた場合の製品にはクロルピリホスメチルと同様50%以上の残存率を示したが, 揚げた場合には27%程度, ゆでた場合にはほとんど残存しなかった.

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© 社団法人 日本食品衛生学会
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