食品衛生学雑誌
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キャピラリーGC/MSによる牛肉中のタンパク同化剤の一斉分析
飯嶋 美子三枝 克彦伊東 富晴安生 孝子松木 容彦南原 利夫
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1992 年 33 巻 2 号 p. 164-170

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抄録

タンパク同化剤及び代謝物の計8種のキャピラリーGC/MSによる一斉分析法を検討した. カラムにDB-1を用いたとき, 各標準品の相互分離は良好であった. また, これらの化合物に20% BSTFA-アセトニトリルとピリジンを加えて60°, 17時間反応させるとき, 誘導体化はほぼ完結した.
牛肉からのタンパク同化剤の抽出, クリーンアップについては, 一般に脂肪除去に使われる液-液分配に加え, Bond Elut (SI) 固相抽出カラムと, Bio-Rex 70陽イオン交換カラムを併用したところ, 夾雑物質の影響を受けることなく再現性の良好な一斉分析が可能となった. 抽出, クリーンアップ操作後の肉試料に各標準品を加えて検量線を作成したところ, HEX, DES, E1, MES, E2, EtE2については50~500pg, α-ZLA, ZERについては50~250pgの範囲でいずれも良好な直線性が得られた. ついで, 肉のメタノール抽出物を用いて添加回収試験を行った結果, 満足し得る回収率が得られ, また測定操作中に異性化するDESを除くとその他の化合物の定量限界は5ppb, 検出限界は1ppbであった. 以上, 牛肉中に残留する8種のタンパク同化剤並びにその代謝物の一斉スクリーニングに十分適用し得る分析法を確立することができた.

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