ろ過, 及びオゾン滅菌処理によって貝毒生産プラシクトン並びに細菌を除去した海水を供給した水槽中で毒化ホタテガイを養殖し, 下痢性及び麻痺性貝毒量の変動を測定した. 無毒飼料 (珪藻) 投与系及び無投与系のいずれにおいても養殖の経過にともなって毒性値は有意に低下したが, 特に前者において Chaetoceros septentrionelle を投与した場合に貝毒は速やかに減衰した. 一方, Skeletonema costatum, Asterionema japonica, あるいは. Rhabdonema 属, Thalassiosra 属などの珪藻を投与した系においては, 貝毒の減衰のみならずホタテガイ組織中のグリコーゲン, 遊離アミノ酸, 及び遊離脂肪酸も減少し, 品質の劣化がもたらされた. 以上の結果は, 貝毒生産プランクトンの存在しない環境下で無毒プランクトンを投与しつつ毒化ホタテガイを養殖することによって貝毒を減衰させ得る可能性を示唆するものである.