総水銀定量法としての硫硝酸分解-還元気化原子吸光法を一部改良し, それを用いて市販野菜及び果物中の分析を行った. 試料に対して水銀を0.5ppb及び2.5ppbとなるように添加した場合の回収率及び変動係数は,0.5ppbで, 94-103% (平均99%), 2.0~11% (平均5.6%), 2.5ppbで, 97-101% (平均99%), 2.8-6.3% (平均4.1%) であった. また, 定量下限値は0.1ppbであり, 従来の方法に比べて, 1桁低い値であった. 本法で奈良県下に市販されていた27種類 (81検体) の野菜, 果物中の微量水銀について調査したところ, その平均値は10種類が0.1ppb未満, 12種類が0.1-1.0ppb, 5種類が1.0-2.4ppbの範囲にあった.