1993 年 34 巻 5 号 p. 367-373_1
体重約40gの Wistar 系雌ラットを2群に分け, 正常食または鉄欠乏食で8週間飼育し, 後半の4週間に両群の半数に飲料水として10% (v/v) エタノールを投与し, 肝臓内小器官及び血漿脂質の脂肪酸組成の変化について検討した. その結果, 正常食飼育ラットにエタノールを投与した場合の方が, 鉄欠乏食飼育ラットにエタノールを投与した場合より変化が著しく, 特にミトコンドリアでその傾向が強かった. すなわち, 正常食下でのエタノール投与によってミトコンドリア脂質の12:0, 14:0, 16:1, 18:1及び18:3の増加, 逆に18:0, 20:4, 24:0及び22:6の減少を生じ, 更に脂肪酸の不飽和化に関与すると思われる変化を認めた.