1993 年 34 巻 5 号 p. 374-379_1
体重約40gの Wistar 系雌ラットを2群に分け, 正常食または鉄欠乏食で8週間飼育し, 後半の4週間に両群の半数に飲料水として10% (v/v) エタノールを投与し, 脳の総脂質, リン脂質及びコレステロール含有量の変化, 更にその脂肪酸組成の変化について検討した. その結果, 鉄欠乏食投与ラットでは, 総脂質及びリン脂質脂肪酸の16:1の減少と18:2の増加を認めた. 一方, エタノール投与の影響としては, 正常食下では, リン脂質脂肪酸の18:2の増加及び20:4/18:2の比率の著しい低下が認められた. それに対し, 鉄欠乏食下では, 総脂質の14:0の減少が認められた以外エタノールの影響と思われる変化は認められなかった.