小児耳鼻咽喉科
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原著
新生児聴覚スクリーニング偽陰性例についての検討
泰地 秀信守本 倫子南 修司郎
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2009 年 30 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

  平成15年 4 月~平成18年 3 月に国立成育医療センター耳鼻咽喉科を受診した月齢 6 カ月以内の新生児・乳児について,先天性難聴であって聴覚スクリーニングを pass した16症例について検討した。NICU 児やダウン症で髄鞘化不全のため ABR の潜時延長や閾値上昇が起こり,後に正常化するような例は除外した。DP スクリーナーで pass となり,ABR または ASSR で聴力障害が確認された症例は13例で,うち 9 例が auditory neuropathy, 2 例が cochlear nerve deficiency, 1 例が脳幹障害,1 例が中等度難聴であった。Auditory neuropathy のうち 7 例に基礎疾患が認められた。自動 ABR で pass となり聴力障害が認められた症例は 3 例あり,いずれも一側性であった。1 例は自動 ABR で患側は35 dB refer, 40 dB pass であったが,ABR 閾値は90 dBnHL と乖離がみられた。両側の蝸牛低形成があるのに自動 ABR で pass となった症例が 2 例あった。NICU 児では聴覚スクリーニングのプロトコルを必ず ABR を行うように変えることや,一側 refer であっても pass 側も精密検査を行うことが勧められる。

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© 2009 日本小児耳鼻咽喉科学会
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