小児耳鼻咽喉科
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原著
鼓膜切開で摘出した小児先天性中耳真珠腫の検討
呉 晃一松井 和夫大田 隆之三好 豊
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2009 年 30 巻 3 号 p. 248-252

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抄録

  我々は先天性中耳真珠腫に対して経鼓膜的に鼓膜切開で摘出した 6 症例を報告する。対象は鼓膜前上象限 antero-superior quadrant(以下 ASQ)に限局した先天性中耳真珠腫であり,耳小骨病変を有さない 6 症例である。CT 所見で,概ね 3 mm 大の真珠腫であり,通常の鼓膜切開を ASQ に行い,ローゼン氏の探針などを用いて経鼓膜的に摘出した。
  6 例中 5 例は術後現在再発を認めていない。1 例は鼓膜張筋腱に術中遺残した可能性があり経過観察中再発を認めたため,2 年後に鼓室形成術を行った。
  鼓膜切開による経鼓膜的真珠腫の摘出は,低侵襲であり,ASQ に局在する先天性中耳真珠腫に対する外科的治療として,今後も検討していく必要がある。

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© 2009 日本小児耳鼻咽喉科学会
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