抄録
3 カ月以上の言語指導期間のある18歳未満の吃音児57名を対象に,介入時期と吃音の改善効果について検討した。紹介元では,他機関の専門職からの紹介が59%であり,発吃平均年齢は 3 歳 3 カ月,初診時平均年齢は 5 歳 9 カ月であった。発吃から介入までの期間は,発吃から 1 年未満の「超早期介入群」が46%を占めた。吃音に対する言語指導として,親へのコミュニケーション環境調整などの間接的言語指導法に加えて,吃音児に対しても楽な発話モデルによる流暢性発話の獲得などの直接的言語指導法も積極的に取り入れた。その結果,吃音が消失した症例は全体で11%に限られたが,「超早期介入群」「早期介入群」「普通介入群」は吃音の消失とブラッドシュタインの吃音の進展度分類の 1 層への改善が認められた。しかし,「介入遅延群」は 2 層への改善にとどまっていた。今回の結果から,吃音の対する間接的言語指導法に加えて直接的言語指導法を行うことが有効と思われた。さらに,早期に介入した吃音児ほど改善傾向が高いことが示唆された。