小児耳鼻咽喉科
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原著
小児科における,小児急性中耳炎診療ガイドラインを利用した急性中耳炎の治療管理と耳鼻科との連携
田端 祐一
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2010 年 31 巻 3 号 p. 283-292

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抄録
  2006年に小児急性中耳炎ガイドラインが発表され,中耳炎治療に対する基本スタンスが示された。当院小児科外来にて単純性の急性中耳炎と診断した 4 歳未満の217例にガイドラインを用いて重症度分類を行い,治療を行った。ガイドラインを利用して市内の耳鼻咽喉科 2 機関と治療連携を行った。耳鼻咽喉科紹介基準は,重症度分類にて重症例,中等症にて高度の鼓膜所見例,1 歳未満(全例ではない),初期・2 次・3 次治療後に鼓膜スコアが高度に悪化した例,治療中に再燃した例,3 週間以上の遷延例とした。紹介時には,スコア,重症度分類,治療内容,経過,鼻咽腔培養結果を記載し紹介した。結果,紹介率は36.8%で,鼓膜切開率は22.1%であった。本ガイドラインを用いたことで,耳鼻咽喉科医と治療の基本スタンスを共有でき,円滑に連携できた。今後,小児科医にも本ガイドラインを普及させ,耳鼻咽喉科医と密に連携をとっていくことが重要であると考えられた。
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© 2010 日本小児耳鼻咽喉科学会
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