小児耳鼻咽喉科
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原著
口蓋裂術後児における構音時の鼻気流漏出に関する新しい評価法
長島 圭士郎内藤 健晴堀部 晴司堀部 智子清水 雅子木原 彩子
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2010 年 31 巻 3 号 p. 293-298

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抄録
  当教室では,院内に口唇口蓋裂センターが開設された1992年以来,2006年 4 月までに382例の口蓋裂児に鼻咽腔閉鎖機能検査を行ってきた。当教室と日本光電社で共同開発した検査システム(NI–301)を使用した空気力学的鼻咽腔閉鎖機能検査は,構音時に鼻漏出する鼻気流速を数量的に判定することが可能となっている。鼻咽腔閉鎖不全の治療は原則的に言語訓練を主とするが,重度閉鎖不全例あるいは訓練抵抗例には咽頭弁形成術を併用する。言語訓練単独例と手術併用例の 2 群間を対象に,構音時に鼻漏出する鼻気流速の最大値を比較検討した結果,手術併用例の方が有意差をもって大きいことが明確となった。今回の検討から,本検査で鼻咽腔閉鎖不全の程度を客観的かつ定量的に評価でき,またこの 2 群間に有意差を認めたことから,本検査が咽頭弁形成術の適応を決定する評価要素の一つになりうる可能性が示唆された。
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© 2010 日本小児耳鼻咽喉科学会
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