小児耳鼻咽喉科
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原著
前庭機能検査を施行した小児の前庭水管拡大症の 2 例
菅谷 明子前田 幸英片岡 祐子平井 美紗都福島 邦博西﨑 和則
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2010 年 31 巻 3 号 p. 299-306

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抄録

  前庭水管拡大症は,変動する進行性の感音難聴をきたす先天性の疾患である。CT や MRI などの画像検査にて診断が可能であり,近年画像診断の普及により症例数が増加している。また,遺伝子検査が可能な疾患でもあり原因遺伝子としては SLC26A4 が知られている。聴力の悪化時にめまいを伴うことが多いため,めまいの訴えが見られた場合には聴力検査を行い,聴力低下を進行させないために迅速な治療が必要である。尚,小児の例ではめまいの訴えが不確実であり病歴の聴取が難しい。そのため,めまいの合併が考えられる場合には平衡機能検査にて前庭機能を調べる必要があるが小児に施行するのは比較的困難であり,前底機能検査を施行した報告は本邦では稀である。今回小児に急性回転性めまいを呈し,前庭水管拡大症と診断し加療された症例を 2 例供覧する。

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© 2010 日本小児耳鼻咽喉科学会
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