小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
Print ISSN : 0919-5858
ISSN-L : 0919-5858
原著
小児中耳炎の臨床経過(難治性中耳炎の特徴)
加藤 俊徳
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 32 巻 1 号 p. 38-46

詳細
抄録

  難治化・重症化したといわれている小児中耳炎の実態を明らかにするために,2005年 9 月から2008年 3 月までに当院を受診した,0 歳から14歳までの小児中耳炎2000例が,2010年 9 月までにどういう経過をたどったか,臨床経過・発症年齢・罹患側・鼓膜所見の特徴・罹患最終年齢・罹患最終回数について検討した。主な結果は,次のとおりであった。脱落例,紹介例をのぞいた,経過観察可能例については,①30%は単発性中耳炎であった。②30%は難治性中耳炎になった。③98%は治癒していた。④ 0 歳児に発症した場合,その50%は難治性になった。⑤ 1 歳児に発症した場合,その40%は難治性になった。⑥難治性中耳炎に多く見られた鼓膜所見の特徴としては,鼓室内に 1 カ月以上貯留液が充満している症例が最も多く,次いで,鼓膜上の水疱形成,耳漏,痂皮形成,鼓膜裏面の斑点,鼓膜の拍動性の動きの順であった。

著者関連情報
© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top