抄録
小児中耳炎の発症要因のなかで,頭位(体位)の関与するものに,授乳時の姿勢,胃食道逆流,寝ているときの姿勢が考えられる。授乳時の姿勢と中耳炎については,1960年ダンカンが哺乳瓶を寝せた状態で授乳させると,ミルクが耳管を経て中耳に入り,中耳炎の原因になることを指摘し,哺乳瓶を寝せた状態で授乳したことによりおこる中耳炎を頭位性中耳炎(positional otitis media)と名づけた。日本でも30年前に授乳の時の姿勢により中耳炎をおこすことが,わかっていた。しかし,多くの母親は,臥位授乳をしているので,その理由を検討した。そして授乳の姿勢による中耳炎を検討し,さらに,胃食道逆流や,寝ているときの姿勢の関与を考察した。