小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム I 反復性中耳炎の危険因子とその対応
反復性中耳炎に認められた胃食道逆流症とその対応
上出 洋介
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2011 年 32 巻 3 号 p. 242-247

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抄録
  反復遷延する中耳炎の背景に胃食道逆流症が隠れていることがある。この関与を疑った症例の入院検査(上部消化管造影と24時間食道 pH モニタリング)結果と中耳貯留液に含まれるペプシノゲン 1 の定量を行い貯留液 pH との関連性について報告し,危険因子として述べる。入院検査の結果13例中,上部消化管造影検査で 4 例が喉頭までの逆流が見られた。24時間食道 pH モニタリングで 2 例が pH index 4.0%以上であった。その他に疑い症例があり,合計 7 例が胃食道逆流症が背景にあると考えた。
  中耳貯留液 pH 測定では全39例の中央値 pH 7.9 であった。Pepsinogen 1 の測定値が100 μg/L 未満の群(23例)では pH 中央値8.2,100 μg/L 以上の群(13例)では央値7.7であり,両群間に有意差(p value=Mann-Whitney U test)が認められた。
  免疫学的に十分対応できない年齢の時に,保育施設などで早期に鼻咽腔に薬剤耐性菌が定着して細菌叢を形成し,下部食道括約部の機能が十分でないために逆流した胃液(特にペプシン)が,それほど頻回でなくても繰り返して耳管付近まで逆流することで耳管機能不全が惹起し中耳炎を誘発することが推測される。これらの例では pH index 4%以上という基準を満たさなくても中耳炎が起こりうる。中耳貯留液の pH を測定することは逆流症が背景にあるかどうかの一応の目安となりえる。
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© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
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