抄録
小児科と耳鼻咽喉科は共通の領域が広く,共同で診療,研究する余地が大きいと考える。たとえば,滲出性中耳炎に関しては,日本の一般小児科医の耳鼻科診療の現状と,耳鼻咽喉科と小児科の連携を踏まえて,治療方法,治療的介入の意義などの指針が必要であろう。また,閉塞性無呼吸も診断されていない例も多数存在すると考えられ,同時に手術適応の検討も要する。小児か耳鼻科双方からの症例検討が蓄積されることが望まれる。千葉県こども病院耳鼻咽喉科への2008年の紹介例を検討すると,中耳炎関連は耳鼻科診療所からの紹介が多く,扁桃・アデノイド関連は小児科診療所と耳鼻科診療所はほぼ同数であった。このことは睡眠時無呼吸の発見が小児科診療所と耳鼻科診療所でほぼ同等であることを示す。医師患者関係の研究から,保護者との信頼関係の構築には,専門性の高さ,説明の明快さ,保護者と児の受容が求められるとされる。