小児耳鼻咽喉科
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臨床セミナー II
発達障害の理解と援助
渡部 京太
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2011 年 32 巻 3 号 p. 310-316

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抄録

  近年,わが国の子どもの心と発達の問題として広汎性発達障害(PDD),注意欠如・多動性障害(ADHD),学習障害(LD)などの発達障害が注目されるようになった。発達障害という用語は,国際的な疾病分類である世界保健機構(WHO)の定めた ICD–10や米国精神医学会の DSM–IV–TR には,明確な定義が見あたらない。ICD–10では,①発症は乳幼児期あるいは小児期であること,②中枢神経系の生物学的成熟に深く関係していること,③寛解や再発がみられない経過であること,があげられている。わが国の発達障害者支援法では,その第二条において,「この法律において『発達障害』とは,自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって,その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」としている。本稿では,PDD, ADHD の疾患概念,そして基本的な対応について述べたいと思う。

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© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
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