小児耳鼻咽喉科
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原著
小児後天性弛緩部型真珠腫の検討
水田 邦博大和谷 崇遠藤 志織中西 啓瀧澤 義徳峯田 周幸
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2014 年 35 巻 3 号 p. 274-280

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抄録

  小児後天性弛緩部型真珠腫11名13耳(3 歳~12歳,平均8.5歳)の検討を行った。ダウン症の 1 耳は canal wall down で 1 期的に手術され,他12耳は計画的段階的に鼓室形成術 canal wall reconstruction を施行した。外耳道の皮膚は破らないように扱い,intact canal skin 法とし,外耳道後壁再建材料は自家皮質骨を用いた。この12耳中 3~7 歳は 5 耳で,再陥凹率は 4/5 耳で80%,遺残が 1 耳認められた。8~12歳は 7 耳で,再陥凹率は 2/7 耳で28.6%,遺残が 2 耳認められた。12耳中聴力再建まで到達した例は 9 耳であった。9 耳の耳管機能を術前と最終術後の中鼓室の視診から判定した。術前,鼓膜緊張部陥凹なし 2 耳,陥凹 2 耳,浸出液貯留 4 耳,真珠腫充満 1 耳であったものが,術後 9 耳すべて含気化し陥凹なしとなった。小児の真珠腫では経過中に耳管機能の改善が期待できる。耳管機能が未熟な時期の鼓膜換気チューブ留置や注意深い観察で,最終手術をできるだけ年長で施行することが重要と考えられた。

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© 2014 日本小児耳鼻咽喉科学会
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