小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 2―小児喉頭・声門下・気管狭窄の診断と治療
小児上気道狭窄の診断と治療~喉頭疾患を中心に~
紫野 正人安岡 義人近松 一朗
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2017 年 38 巻 3 号 p. 291-296

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抄録

小児の上気道で喉頭(声帯周辺)は最も狭く,器質的病変,炎症,挿管チューブの慢性刺激による肉芽・瘢痕などにより容易に狭窄を生じる。本稿では喉頭軟弱症を除く比較的まれな喉頭疾患を5症例提示して,診断と治療について概説した。症例1は偶発的に発見された喉頭嚢胞で手術により全摘した。症例2は嚥下性肺炎を契機に直達喉頭鏡検査で診断した喉頭裂で,軽度の裂であったが肺炎を反復したため閉鎖手術を施行した。症例3,4は長期挿管による声門下狭窄症と声門後部癒着症である。低侵襲な手術を念頭におき,喉頭内腔からのアプローチのみでカニューレ抜去に至った症例である。症例5は吸気性喘鳴を伴う喉頭の乳児血管腫で,ファイバーとMRIにて診断し,βブロッカー投与にて経過観察中である。小児の喉頭疾患に際しては,成長を考慮して可能な限り保存的に,喉頭の枠組みを壊さない手術を第一に検討すべきである。

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© 2017 日本小児耳鼻咽喉科学会
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