小児特有の注意点に配慮しながら,特に「滲出性中耳炎と難治性の急性中耳炎」について,それらの合併症・後遺症を含めた診断と治療について述べる。
小児滲出性中耳炎では,並存する鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎,繰り返す急性中耳炎などの感染・炎症に対する積極的な保存的治療を行うべきである。外科的治療の適応については,特に言語発達遅滞や構音障害がみられる場合や,難聴によって起きる様々なQOLの低下がすでに存在する場合には,より積極的な対応が望まれる。
急性中耳炎の治療のポイントは,①抗菌薬の適正使用と,②難治例(反復例・遷延例)への対応,さらに③重症化や合併症を早期に診断し,適切な治療と行なうことである。近年わが国では,急性乳様突起炎は保存的治療で治癒する疾患であるとの意見もみられるが,側頭骨内・頭蓋内などの重篤な合併症の危険も高く,外科治療(膿瘍切開排膿術や乳様突起削開術)の適応を見誤ってはならない。
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