小児耳鼻咽喉科
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症例報告
声帯内自家脂肪注入術を施行した小児声帯麻痺の1例
吉冨 愛馬場 信太郎二藤 隆春
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2017 年 38 巻 3 号 p. 367-371

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抄録

小児において,一側声帯麻痺による声門閉鎖不全に対して外科的治療を行うことはまれである。心疾患術後の一側声帯麻痺に対し,声帯内自家脂肪注入術を行い奏功した一例を経験した。症例は9歳,男児。3歳での心疾患術後より嗄声と食事中のむせが出現し,左声帯麻痺と診断されていたが,5年以上症状が不変であったため当科を受診した。声の聴覚心理的評価はG2R1B2A1S0,最長発声持続時間(MPT)は4秒で,左声帯の傍正中位固定と萎縮を認めたため,声帯内自家脂肪注入術を施行した。腹部より採取した脂肪を細切法にて加工し,喉頭直達鏡下に左声帯に注入した。術後の音声機能はG1R1B1A0S0,MPT 8秒に改善し,むせる頻度も著明に減少した。声帯内自家脂肪注入術は喉頭の枠組み構造に手術操作を加えず,比較的低侵襲であるため,喉頭が成長過程である小児において,一側声帯麻痺に対する安全かつ有効な手術法と考えられた。

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© 2017 日本小児耳鼻咽喉科学会
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