小児耳鼻咽喉科
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39 巻 , 3 号
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巻頭言
追悼文
第13回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
教育セミナー
  • 宮崎 総一郎
    2018 年 39 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    「睡眠健康」は「睡眠衛生」ともいわれるが,良質な睡眠のために,生活習慣や睡眠環境を整えることをさす。睡眠健康指導の基本は,なるべく同じ時刻に就床し,朝は光で体内時計をリセットすることである。睡眠・覚醒リズムは約25時間周期であるが,それを24時間に同調させるために,光や食事,運動,社会的活動などの同調因子が重要である。現代社会で,小児の睡眠を障害する因子として,夜間の光暴露,メディアの影響等が重要である。

    乳幼児では,眠りの前のひと時を親子で過ごすことによって,よい眠りや気分の安定,親子の信頼関係をもたらす可能性がある。また,入眠儀式は,おおよそ同じ時刻に同じ行動を繰り返すことで,円滑な入眠や睡眠持続をもたらすと考えられる。

  • 湯田 厚司
    2018 年 39 巻 3 号 p. 212-218
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    舌下免疫療法(SLIT)が2018年に小児適用となった。現在スギ花粉とダニの各々に2製剤が発売され,スギ花粉1製剤を除き11歳以下の小児にも投与可能である。著者は12歳以上例で市販後4年間に本邦で最も多い約650例のSLIT治療を行い,臨床研究治療例を含めると1000例(小児例含む)を超える。これまでに,成人スギ花粉SLIT例の報告で効果の高さを示してきた。小児でアレルギー性鼻炎を発症すると自然寛解が少なく長期有症となり,早期からのSLITが望まれる。小児であってもSLIT治療法や投与量は成人と同じであり,成人同様の効果を期待できる。著者が過去に行った小児スギ花粉症SLITの臨床研究結果を明示し,豊富な臨床経験に基づくアドヒアランス向上,長期休薬への対応,副反応軽減への工夫,ダニ治療時の注意点,スギ花粉とダニの重複抗原例の治療などについて,安全で効果的にSLITを行うために概説した。

  • 足立 雄一
    2018 年 39 巻 3 号 p. 219-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児の気道異物吸引事故はなくならない。日本小児呼吸器学会では,事故の実態を把握して啓発活動に役立てることを目的に2007年に第1回全国調査を行い,「小児の気道異物事故予防ならびに対応」パンフレットを作成した。2015年にも第2回の全国調査を行なったが,結果に大きな変化はなかった。一方,事故を防ぐには保護者への啓発活動が大切であるが,保護者の多くは事故予防についての知識が乏しい。気道異物吸引事故に対応できる施設や医師が限られているなか,各地域での診療体制の構築と維持,異物吸引疑い例への適切な対応,そして事故発生予防のための一般市民への啓発活動ならびに異物になり得る商品への警告表示など,気道異物事故に関して取り組むべきことが多くある。

  • 宮本 真, 齋藤 康一郎
    2018 年 39 巻 3 号 p. 223-228
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    咳,嗄声,喘鳴といった上下気道の症状は,われわれ耳鼻咽喉科医が小児の患者を診察する際にしばしば経験する症状である。そのほとんどが鼻咽喉頭領域の感染症に関連した症状であるが,年齢により疾患も大きく変化するため患児の年齢にも注意が必要である。さらに身長や体重が大きくなる発育や知能や運動能力など機能が成長する発達を考慮しながら診断・治療にあたる必要がある。

    小児喉頭において,声門上の組織が脆弱なため吸気時に引き込まれやすいといった特徴があるため,吸気性の喘鳴の原因として喉頭軟弱症(喉頭軟化症)がもっとも多い。喉頭軟弱症のほとんどは2歳までに軽快するが,チアノーゼを伴うような呼吸障害や発育障害など重度の合併症があれば,Supraglottoplasty(声門上形成術)など外科的治療が必要となってくるため,そのタイミングの見極めが重要となってくる。

シンポジウム1―小児中耳炎―私はこう治療する
  • 仲野 敦子
    2018 年 39 巻 3 号 p. 229-232
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    肺炎球菌ワクチン,新規抗菌薬,ガイドラインの普及により,小児の急性中耳炎(AOM)の難治症例は減少している。治療に難渋する場合は,その原因を究明する必要がある。免疫不全や原発性線毛機能不全などの合併が疑われる場合は小児科との連携による治療が必要である。MRSA感染による耳漏が持続する例では,耳洗浄の反復等の局所処置が中心となるが,症例によっては抗菌薬投与も検討する。AOMの合併症の1つである急性乳様突起炎は,13価肺炎球菌ワクチンの普及により減少したと報告されているが,ワクチン非含有株による感染例もある。薬剤耐性対策により抗菌薬投与が極端に控えられた場合にはAOMから急性乳様突起炎へ至る例の増加も懸念される。

    外耳道が狭い,処置中じっとできない,保護者の都合による通院の中断なども治療に難渋する要因となり得るため,小児中耳炎の治療では患児および保護者への適切な対応も重要である。

  • 澤田 正一
    2018 年 39 巻 3 号 p. 233-237
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児急性中耳炎は耐性菌の増加や肺炎球菌ワクチンの導入などで大きく変化している。しかしながら小児急性中耳炎の治療の骨格はいつの時代も同じで,(1)重篤な合併症を起こさないように,(2)すみやかに患児の苦痛(耳痛や発熱)を取り,(3)最終的に鼓膜所見を改善させて治療を終了する,この方針には変わりは無い。合併症対策として重要,とくに乳様突起炎やそれに併発する頭蓋内合併症を起こしやすい菌は,肺炎球菌やA群溶連菌であり,それらの菌に有効性が高いペニシリン系抗菌薬を十分な量でスタートすることである。ただし,耐性インフルエンザ菌が増加してきている現状ではあるので,高用量のペニシリン系抗菌薬が不十分であれば,診療ガイドラインを参考に抗菌薬のスイッチが必要になるであろう。また,発熱や耳痛などの臨床症状の改善には,やはり鼓膜切開は有用な手段であり,症状が遷延するものについては,鼓膜切開を検討することをガイドラインでも推奨されている。そのためには小児科医,耳鼻咽喉科医がより良く連携している必要があるであろう。

シンポジウム2―救急対応を要する小児耳鼻咽喉科疾患
  • 平林 秀樹
    2018 年 39 巻 3 号 p. 238-242
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児耳鼻咽喉科疾患で逼迫した救急対応を迫られるのは気道閉塞である。その診断・治療は,いかに迅速に原因を特定できるかが最も重要である。小児の気道の特殊性は1)軟骨が柔らかく吸気時につぶれやすい,2)粘膜下組織が祖なため腫脹しやすい,3)感染を受けやすい,4)喀痰などの排出力が弱い,5)訴えが分かりづらい,6)病態が突然変化する,7)喉頭の位置か高い,などである。意識のない時や,訴えが分からない時などは,チアノーゼ,陥没呼吸,多呼吸,喘鳴など,他覚的症状で判断する。上気道疾患か下気道疾患か,緊急処置が必要か否かを的確に判断する。本稿は当院で経験した症例を中心に救急対応を要する小児耳鼻咽喉科疾患つき述べた。

シンポジウム3―小児の咳嗽疾患ガイドラインの現在・未来
  • 岡田 邦之
    2018 年 39 巻 3 号 p. 243-249
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    咳嗽は小児科の外来診療に於いて,遭遇する機会が多い症状の一つである。しかし,生活環境や年齢により病原微生物の種類や考慮すべき疾患分布が異なること,咳を誘発・増悪させる原因が一つだけでなく重複することもありその診断は容易ではない。また小児では,呼吸器症状が急速に悪化し迅速な対応が必要で,速やかに診断を確定して的確な治療を開始しなければならないこともある。そのために小児を診療する医師は,普段より小児の呼吸生理や原因疾患の種類・診断法を熟知している必要がある。小児の咳嗽診療ガイドラインが作成され診療の指針は示されるようになってきた。しかし,遷延する咳や繰り返す咳には非常に稀な疾患もあり,検査や診断・治療に於いて耳鼻科医と協力して診療に当たった方が良い症例も多い。我が国の臨床的特徴や小児の呼吸特性を十分に理解し,小児科医と耳鼻科医が協力して咳嗽診療に望む必要がある。

  • 平井 康太
    2018 年 39 巻 3 号 p. 250-257
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    咳嗽の評価を行うにあたり,乾性,湿性などの性状や,回数,発生時刻,持続時間などが重要であるが,現在までに客観的な評価法がなかった。咳モニターを用い,疾患別の夜間,咳嗽の好発時間の分類や治療の効果判定を客観的に評価できる可能性がある。

  • 増田 佐和子
    2018 年 39 巻 3 号 p. 258-262
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児の咳嗽にはさまざまな上気道疾患が関わっている。中でも鼻副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎は頻度が高く,急性期から慢性期まで咳嗽の原因となりうる。鼻副鼻腔炎は見逃さないことが大切で,診断には症状と局所所見が重要である。急性期であればペニシリン系を第一選択に抗菌薬治療が行われる。慢性期にはマクロライド系抗菌薬の少量療法が広く行われているが,有用性についてのエビデンスの集積が望まれる。アレルギー性鼻炎の咳嗽に対しては,その機序を考えることが大切である。後鼻漏,鼻閉など鼻症状の影響,喉頭アレルギー,気管支喘息や咳喘息の合併など,機序により治療方針は異なる。小児の咳嗽を適切に診療するために,小児科と耳鼻咽喉科双方からのアプローチと,客観的指標による評価および機序の解明が期待される。

  • 井上 壽茂
    2018 年 39 巻 3 号 p. 263-269
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児の咳嗽診療ガイドラインが2014年に日本小児呼吸器学会から発刊され,良好な社会的評価を得ることができたが,より信頼性の高い内容を目指して,2020年の改訂に向けた検討が開始された。いくつかの新しく得られた知見に触れると共に,Mindsの指針に沿った透明性の高いエビデンスに基づいたガイドラインの作成が期待されている。しかし,エビデンスが不十分なため,経験に基づいた専門家の意見の記載となる部分も多々残されている。また,疫学を中心に欧米諸外国のデータを参考にせざるを得ないため,必ずしもわが国の診療実態を反映できていない可能性もある。作成の過程を通して今後の検討課題を明らかにし,経験に依存せざるを得なかった点がエビデンスに裏打ちされ,さらに改訂を重ねることでより充実した内容となることを期待したい。私見も交え,改訂に向けた課題について報告した。

ランチョンセミナー
  • 岡野 由実
    2018 年 39 巻 3 号 p. 270-274
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    一側性難聴による聞こえは,限られた聴取場面において困難が生じ,情報の高次化と聴取場面の複雑化に伴い,社会人期において障害が顕在化していく傾向がある。言語発達途上の小児では成人に比べ,より騒音下で聞き取りが困難となることが指摘されており,そのような聴取困難状況が持続することにより,個人差は大きいものの,言語発達や学校適応に影響が生じている例もいる。新生児聴覚スクリーニング検査により,先天性一側性難聴児が一定数発見されているが,一側性難聴児に対する支援方針は確立されていない。また,診断後の一側性難聴に関する情報不足により,将来の見通しが持てず子育てに不安を抱えている家族も少なくない。家族の認識が一側性難聴児本人の障害認識に影響を及ぼす可能性もあり,本人や家族に対し,一側性難聴による障害実態に即した支援や助言が要請されていると考えられる。

  • 谷内 一彦
    2018 年 39 巻 3 号 p. 275-282
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    開発初期の第1世代抗ヒスタミン薬はアレルギー疾患に対する効果が認められる一方で,強い鎮静作用(眠気,疲労感,認知機能障害),口渇,頻脈といった抗コリン性作用,そして心毒性などの副作用が問題視されていた。現在,小児の花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患症状の緩和に非鎮静性抗ヒスタミン薬がFirst-line treatmentであり,非鎮静性抗ヒスタミン薬のアレルギー疾患への長期投与の治療効果は高いと考えられている。日本では過去に成人に比較して鎮静性抗ヒスタミン薬が格段に多く使用されていた。成長過程にある小児に対してはヒスタミン神経系の機能に配慮し,脳内移行の少ない第2世代抗ヒスタミン薬の選択が求められる。最近,生後6ヵ月以上の乳幼児にも使用できる非鎮静性抗ヒスタミン薬が販売されており,鎮静性抗ヒスタミン薬は制吐剤,抗動揺病,抗めまい薬などの使用に限定される。

原著
  • 田中 恭子, 井上 真規, 佐合 智子, 小河原 昇
    2018 年 39 巻 3 号 p. 283-290
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    ムコ多糖症(mucopolysaccharidoses: MPS)はムコ多糖分解酵素が先天的に欠損することにより,全身臓器にムコ多糖が進行性に蓄積し様々な症状を呈する稀な遺伝性疾患である.今回我々は当科を受診したMPS患者16例について後方視的に検討した.滲出性中耳炎,難聴,気道狭窄は過去の報告同様高率に認められた.滲出性中耳炎は難治性であり,また難聴は進行した症例もみられた.気道狭窄の外科治療では,挿管困難,術野確保困難となった症例や,術後も気道管理に難渋する症例があり,他科と連携の上慎重な術前評価と,家族への十分なインフォームドコンセントが必要と考えられた.経過中死亡が確認されたのは7例であった.MPSでは早期の治療介入により,症状の発症や進行を遅らせることが知られている.本検討では半数以上にMPSの診断前に耳鼻咽喉科での加療歴があり,耳鼻咽喉科外来で特徴的な身体所見をみたらMPSを鑑別に挙げることが重要と考えられた.

  • 菅沼 栄介, 山口 明, 坂田 英明, 大石 勉, 小熊 栄二, 荒井 孝, 浅沼 聡, 安達 のどか, 上島 洋二, 川野 豊
    2018 年 39 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    先天性サイトメガロウイルス感染症(congenital cytomegalovirus infection, cCMV)児の頭部MRIの異常パターンと神経学的後障害との関連は解明されていない。尿スクリーニングで診断されたcCMV児60例の内,初回MRI検査を1歳未満に行った52例を対象とした。異常を認めたのは43例(82.6%)で白質障害(white matter abnormality, WMA)は全例に認めた。WMA以外に多小脳回,脳室拡大,海馬異形成などを有した3例は,全例に知的障害,片麻痺,難聴などの重篤な神経学的後障害を合併していた。一方で難聴の重症度とMRI所見との間に関連性を見出すことはできなかった。しかし興味深いことに,1歳半前後になってもWMAは大部分の症例(37例中29例,78%)で残存しており,WMAの臨床的意義を明らかにするために,今後も長期的な追跡が必須である。

  • 藤田 信哉, 成尾 一彦, 山中 敏彰, 北原 糺
    2018 年 39 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児のめまいは成人と比べて少なく,患者から情報を得ることが難しいため診断に苦慮することが多い。地域支援病院耳鼻咽喉科における小児めまいを臨床的に検討した。小児は幼児(1歳から5歳)と児童(6歳から15歳)に分類し,両群の疾患の違いについても考察した。小児では起立性調節障害,前庭神経炎,良性発作性めまい症,片頭痛関連めまいが多く見られた。幼児で多かったのは前庭神経炎で,その他先天性眼振,解離性運動障害,中枢性障害の小脳腫瘍,頭部外傷後めまいであった。児童期になると,メニエール病や,片頭痛関連めまいなど成人と同様のめまいが増えてくるが,起立性調節障害の頻度も多かった。

    小児のめまいとくに児童では,めまい発作に対する不安感が不登校の原因となる場合がある。また,前庭障害や片頭痛に心因が加わって発症する例もある。診療にあたっては,精神医学的,心身医学的アプローチを念頭に置く必要がある。

  • 千葉 恭久
    2018 年 39 巻 3 号 p. 303-311
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    一次性頭痛患者の有病率を求め,その特徴を検討した。対象は,国際頭痛分類の基準で一次性頭痛と診断(含疑い)され赤外線CCDカメラ下に異常眼球・眼瞼運動を異常を認めた,4歳~18歳の耳鼻咽喉科外来受診患者である。結果:2012年1月~2017年1月までの対象患者は全体676名(女性345名,男性331名)だった。その有病率(%)は(平均,最小,最大)表示で,全体(18.0,2.4,25.8),女性(21.3,1.8,35.6),男性(15.1,2.8,22.2),だった。平均有病率に対して有病率のばらつきは33.8%だった。有病率の年齢分布は,全体と女性では8歳と14歳が極大となる二峰性分布,男性は8歳が極大となる一峰性分布だった。13歳以下の有病率に男女差は無く,14歳以上で女性の有病率が有意に高かった。結論:赤外線CCDカメラ下に異常眼球・眼瞼運動を認める一次性頭痛の有病率には,ばらつき・年齢分布の極値,14歳以上の男女差などの特徴があった。

  • 吉冨 愛, 馬場 信太郎, 金丸 朝子
    2018 年 39 巻 3 号 p. 312-319
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    2010年3月から2016年11月までに東京都立小児総合医療センター遺伝科を受診したダウン症児298例のうち,新生児聴覚スクリーニングで要再検か,難聴疑いで耳鼻咽喉科にて精査を受けた46例を対象に,聴力・聴力経過・原因・補聴器装用状況を検討した。初診時年齢は,0歳1か月~1歳5か月(平均0歳5か月),転帰時年齢は,0歳4か月~8歳(平均2歳11か月)であった。初回検査では43例74耳に難聴を認めたが,55%は経過中に聴力閾値が改善し,最終的に35例46耳に難聴を認め,軽度28耳,中等度5耳,高度1耳,重度12耳であった。側頭骨CTを撮影した重度難聴例は,7例8耳全例で蝸牛神経管狭窄を認めた。滲出性中耳炎の合併率は64.9%であった。補聴器装用例は11例であったが,5例は経過中に聴力が改善し,装用中止となった。ダウン症児は聴力閾値が改善する例が多く,長期的なフォローが重要である。

  • 相馬 裕子, 平井 恵美子, 堀部 晴司, 堀部 智子, 内藤 健晴
    2018 年 39 巻 3 号 p. 320-326
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    当科では口唇口蓋裂児の鼻咽腔閉鎖不全が疑われる症例に対し,鼻咽腔閉鎖機能検査を行っている。口蓋の視診,鼻咽腔ファイバー検査,空気力学的検査,顔面側面X線撮影を基本機能検査項目とし,補完的にナゾメーター検査を行ってきた。ナゾメーター検査は,nasalance scoreを用いて鼻咽腔閉鎖機能を評価するが,口唇口蓋裂児における有用な評価法はまだ確立されていない。本研究では,口唇口蓋裂児の鼻咽腔閉鎖機能の評価におけるナゾメーター検査の有用性を明確にすることを目的とし,ナゾメーター検査を行った64例について,その結果の検討を行った。従来行ってきた基本機能検査結果と,検査音「シ」でのナゾメーターの検査結果が有意差をもって相関することが分かった。検査音「シ」を用いて,nasalance scoreの評価基準値50%未満とすることが,鼻咽腔閉鎖不全の評価の指標となることが示唆された。

  • 杉本 寿史, 広瀬 みずき, 永井 理紗, 波多野 都, 瀧口 哲也, 武居 渡, 安田 健二, 伊藤 真人, 吉崎 智一
    2018 年 39 巻 3 号 p. 327-332
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    新生児聴覚スクリーニング検査で難聴の早期発見が可能となっても適切な療育を早期に行わなければ難聴児の支援は果たせない。この問題を解決するため,平成22年度に「いしかわ赤ちゃんきこえの相談支援センター」が設立された。このセンターは保護者に対して難聴に関する基礎的知識や補聴の必要性について説明を行い,さらに療育先を選択する手助けを行っている。今回この「いしかわ赤ちゃんきこえの相談支援センター」に紹介された60例の詳細を解析し,石川県全体の難聴児支援の課題について考察した。新生児聴覚スクリーニング検査の偽陽性率が高いこと,「いしかわ赤ちゃんきこえの相談支援センター」がボランティア活動で成り立ち脆弱な組織であること,軽度・中度難聴児の補聴器購入費助成の割合や条件が市町村によって偏りがあること,少なからず地域格差が存在することなどが今後の解決すべき課題であると考えられた。

  • 水野 貴基, 和田 友香, 守本 倫子
    2018 年 39 巻 3 号 p. 333-338
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    基礎疾患を有する新生児や乳児に経鼻エアウェイ(Nasopharyngeal Airway. NPA)を用いて長期気道管理を行った報告は少ない。今回我々はNPAを用いて気道確保を試みた基礎疾患を有する新生児・乳児16例の臨床情報を検討した。16例中5例は気管切開や人工呼吸器を用いずにNPAで長期気道管理がなされ,挿入後の重大な有害事象は認めなかった。他の11例はNPAを留置したが下気道合併症等によりNPAによる気道管理が不可能と判断され,全例気管切開を受けていた。喉頭や下気道に狭窄がなく,上気道に狭窄に限られる場合に,NPAは基礎疾患を持つ新生児・乳児に対して長期の気道確保手段となりうると考えられる。対象の臨床情報の検討から,NPAで気道管理を継続するためには成長に伴って変化する適切なNPA留置位置の調整,有害事象の予防のために定期的なフォローアップが重要と考えられた。

  • 太田 有美, 森鼻 哲生, 大崎 康宏, 佐藤 崇, 今井 貴夫, 猪原 秀典
    2018 年 39 巻 3 号 p. 339-344
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    小児の鼓膜穿孔に対して鼓膜穿孔閉鎖目的に手術を行った症例37例(43耳)について,その臨床像を検討した。穿孔が生じた原因は鼓膜換気チューブ留置後が60%を占めていた。鼓膜換気チューブ留置後の症例は77%で鼓膜の石灰化が見られた。また,術後1年以上経過観察出来た40耳について再穿孔の有無を調べたところ,術後1年時点での穿孔閉鎖率は73%であり,成人(91%)と比較すると低い結果であった。穿孔閉鎖に影響を及ぼす因子として,性別,手術時年齢,穿孔の大きさ,穿孔の位置,鼓膜石灰化の有無,鼓膜チューブ留置の既往の有無,乳突蜂巣の発育度,両側穿孔/片側穿孔,手術手技(inlay/underlay,顕微鏡下/内視鏡下)について解析した。いずれについても統計学的に有意ではなかったが,乳突蜂巣発育が悪いほど閉鎖率が低い傾向,両側穿孔例が閉鎖率が低い傾向にあった。

  • 岩出 珠幾
    2018 年 39 巻 3 号 p. 345-351
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    [目的]梨状窩瘻の治療は瘻管切除術,化学的焼灼術などがあり,根本治療は瘻管切除術が原則とされてきた。今回は長野県立こども病院で瘻管切除術及び化学的焼灼術にて治療を行った梨状窩瘻6例を臨床的に検討し,化学的焼灼術の有用性について報告する。

    [方法]2000年4月~2016年3月に長野県立こども病院で梨状窩瘻の治療を受けた6例を診療録より後方視的に検討した。

    [結果]年齢は4歳から15歳。術前の感染回数は1~10回。手術は瘻管切除術が4例,10%トリクロール酢酸液を用いた化学的焼灼術が1例,40%硝酸銀液を用いた化学的焼灼術が1例であった。術後,瘻管切除術で嗄声と頚部の創感染を1例ずつ認め,化学的焼灼術の1例で瘻管遺残を認めた。全例で頚部病変の再発を認めていない。

    [結論]化学的焼灼術は頚部創を必要としないため,小児例の梨状窩瘻の初回治療で第一選択となる可能性が示唆された。

症例報告
  • 冨山 道夫
    2018 年 39 巻 3 号 p. 352-357
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    Mycoplasma pneumoniaeと一般細菌の混合感染による急性中耳炎(混合感染例)の報告はない。今回混合感染例を経験した。症例は1歳7ヶ月,男児。発熱,時々生じる湿性咳嗽を主訴に初診。鼓膜に異常なく後鼻漏を伴う急性鼻咽頭炎がみられ,clavulanic acid/amoxicillin(1:14)を投与。4日後発熱続き乾性咳嗽が強くなり再診。右急性中耳炎を認め,咽頭よりマイコプラズマ迅速診断を施行したところ陽性。初診時の鼻咽腔からpenicillin-resistant Streptcoccus pneumoniae(PRSP)が分離され,混合感染例と考え鼓膜切開術後tosufloxacinを投与。その後解熱し,中耳貯留液からM. pneumoniaeとPRSPが分離された。急性鼻咽頭炎の治療中に,乾性咳嗽が強くなり急性中耳炎を認めた場合は混合感染例を疑う必要がある。

  • 冨山 道夫
    2018 年 39 巻 3 号 p. 358-363
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    これまでに報告の少ない急性上咽頭炎を合併したマイコプラズマ肺炎の1症例を経験した。症例は11歳女児。発熱,咽頭痛,頭痛を主訴に受診。内視鏡検査で咽頭扁桃に膿を認めた。白血球数5300/μL,CRP 2.34 mg/dL,A群溶連菌迅速診断陰性で,ウイルス感染として経過をみた。2日後乾性咳嗽が増悪し再診。胸部X線で雲状陰影を認め,咽頭よりマイコプラズマ迅速診断を施行したところ陽性。マイコプラズマ肺炎を疑い,clarithromycinを投与し治癒した。咽頭扁桃より肺炎マイコプラズマが分離され,ペア血清で抗体価の有意の上昇がみられマイコプラズマ感染症と診断した。マイコプラズマ肺炎の初期症状として急性上咽頭炎による頭痛を主訴とする場合があり注意を要する。

  • 富澤 晃文, 岡野 由実, 角田 玲子, 伏木 宏彰
    2018 年 39 巻 3 号 p. 364-370
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

    両側軽度感音難聴に加えて,家庭環境の変化をきっかけに機能性難聴を併発した高校生女児1名を対象に,純音・語音聴力検査,ABR・DPOAE検査を実施した。さらに,機能性難聴に特有の現象である同側マスキング下の異常な閾値シフトを利用したTIN(tone-in-noise)テストを試み,真の閾値推定への適用について検討を行った。本症例において,(1)純音の見かけの閾値(静寂下)と同レベル(実効マスキングレベル)の狭帯域ノイズを負荷したところ,全測定周波数において10~20 dBの異常な閾値シフトが生じた。(2)ノイズレベルを下降させると,閾値シフト値も一定の比率で下降した。(3)ノイズ検知レベルの下限値は,機能性難聴発症前の純音聴覚閾値に近似した。ABRの結果も発症前の純音聴覚閾値と整合していたことから,本症例においてはTINテストのノイズ検知レベルから周波数別に真の閾値を推定可能であったと考えられた。

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