[目的]梨状窩瘻の治療は瘻管切除術,化学的焼灼術などがあり,根本治療は瘻管切除術が原則とされてきた。今回は長野県立こども病院で瘻管切除術及び化学的焼灼術にて治療を行った梨状窩瘻6例を臨床的に検討し,化学的焼灼術の有用性について報告する。
[方法]2000年4月~2016年3月に長野県立こども病院で梨状窩瘻の治療を受けた6例を診療録より後方視的に検討した。
[結果]年齢は4歳から15歳。術前の感染回数は1~10回。手術は瘻管切除術が4例,10%トリクロール酢酸液を用いた化学的焼灼術が1例,40%硝酸銀液を用いた化学的焼灼術が1例であった。術後,瘻管切除術で嗄声と頚部の創感染を1例ずつ認め,化学的焼灼術の1例で瘻管遺残を認めた。全例で頚部病変の再発を認めていない。
[結論]化学的焼灼術は頚部創を必要としないため,小児例の梨状窩瘻の初回治療で第一選択となる可能性が示唆された。
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