小児耳鼻咽喉科
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原著
小児の鼓膜穿孔に対する外科的治療の臨床的検討
太田 有美森鼻 哲生大崎 康宏佐藤 崇今井 貴夫猪原 秀典
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2018 年 39 巻 3 号 p. 339-344

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抄録

小児の鼓膜穿孔に対して鼓膜穿孔閉鎖目的に手術を行った症例37例(43耳)について,その臨床像を検討した。穿孔が生じた原因は鼓膜換気チューブ留置後が60%を占めていた。鼓膜換気チューブ留置後の症例は77%で鼓膜の石灰化が見られた。また,術後1年以上経過観察出来た40耳について再穿孔の有無を調べたところ,術後1年時点での穿孔閉鎖率は73%であり,成人(91%)と比較すると低い結果であった。穿孔閉鎖に影響を及ぼす因子として,性別,手術時年齢,穿孔の大きさ,穿孔の位置,鼓膜石灰化の有無,鼓膜チューブ留置の既往の有無,乳突蜂巣の発育度,両側穿孔/片側穿孔,手術手技(inlay/underlay,顕微鏡下/内視鏡下)について解析した。いずれについても統計学的に有意ではなかったが,乳突蜂巣発育が悪いほど閉鎖率が低い傾向,両側穿孔例が閉鎖率が低い傾向にあった。

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© 2018 日本小児耳鼻咽喉科学会
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