小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム4―軽度~中等度難聴児への対応と課題
当事者からみた軽~中等度難聴
野田 哲平
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2021 年 42 巻 1 号 p. 51-54

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抄録

高度・重度難聴を早期に発見し適切な補聴を行うことの重要性が広く認識されるようになった一方で,健聴と難聴の境目にある軽・中等度難聴に対しては,種々の問題が残っているように感じている。聴覚障害自体が他者から分かりづらい障害であるが,程度が軽・中等度であると気付かれにくいために診断が遅れがちである。また多くの軽・中等度難聴児にとって補聴器が有用な選択肢であるが,難聴児自身や周囲の理解不足によって適切な補聴が受けられないこともある。難聴児はそれぞれの不便さを抱えており,聴覚そのものやコミュニケーション能力,それらをベースとして育まれる有形無形の素養の欠如によって学業や就業などの社会参加が困難になり得る。漏らさず早期発見する検査体制のより一層の充実と,社会全体で難聴児を支える仕組みの構築が望まれる。

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© 2021 日本小児耳鼻咽喉科学会
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