気管切開は,嚥下障害がある場合に誤嚥症状悪化の原因になる。今回我々は気管切開管理中の重症心身障害児に対し,スピーチバルブ(以下SV)を用いて誤嚥防止を試み,SV装着前後の嚥下機能について比較検討を行った。対象は,気管切開を有し誤嚥性肺炎を繰り返した重症心身障害児。SV装着前後において嚥下内視鏡検査を施行し,喉頭クリアランス,嚥下時の喉頭挙上の有無,誤嚥の有無について観察した。また,改訂水飲みテストの結果と,誤嚥性肺炎の発生について検討した。SV装着前の喉頭クリアランスの結果は全例不良で,誤嚥性肺炎の発生を認めていた。SV装着後の喉頭クリアランスと改訂水飲みテストの結果は良好で,誤嚥性肺炎の発生はなかった。SVの装着により,誤嚥性肺炎が回避されたと考えられた。