2022 年 43 巻 1 号 p. 1-7
新型コロナウイルスは罹れば誰もが重症化するウイルスではなく,健康な子どもにとっては基本的に風邪のウイルスである。逆に,感冒コロナウイルスも,高齢者や基礎疾患のある人が罹ると重症化することがあり,重症化はウイルスそのものの性質というよりは宿主側の免疫応答の違いがもたらすものと言える。子どもにとっては,RSウイルスやインフルエンザウイルスの方が遥かに危険なウイルスである。また子どもの新型コロナウイルス感染の多くは大人からもたらされているものであり,子どもの感染は社会における流行の最終ステージと言える。子どもでも重症化のリスクとなる基礎疾患を持っている場合は注意が必要であり,周囲の大人と本人へのワクチン接種が望まれるが,健康な子どもへのワクチン接種はベネフィットとリスクのバランスを十分に検討すべきだ。