食道異物に対し,咽頭喉頭手術器具で摘除した2例を経験した。症例1:ボタン電池を誤飲した11カ月男児,および症例2:既往に21トリソミー,先天性食道狭窄術後の5歳女児の食道異物(多量の毛髪)である。いずれも全身麻酔下に小児外科医により上部消化管内視鏡による摘出が施行されたが,内視鏡鉗子による把持が困難であり摘出に難渋した。このため,耳鼻咽喉科・頭頸部外科医に依頼があり,喉頭微細手術用の喉頭鏡とLaryngoforce II®把持鉗子を用いたところ,完全摘出できた。いずれの症例も頸部食道に異物は存在していた。症例1では,高電圧のリチウム電池が食道内に停留して食道壁と接触し,放電により水酸化物を産生し粘膜と癒着し,また症例2では毛髪の量が多くバルーンカテーテルや上部消化管内視鏡の鉗子での摘出は困難であったと考えられた。咽頭喉頭手術の喉頭鏡や鉗子は,小児における頸部食道異物摘出にも有用であることが示された。