2023 年 44 巻 1 号 p. 32-37
PPPDは,3か月以上続く浮動感,不安定さ,非回転性めまいを主訴とする疾患で,症状は立位姿勢・歩行,能動的・受動的な体動,動くものや複雑な視覚パターンを見た時に増悪する。前庭疾患を中心とする何らかの平衡障害に続発する。先行する平衡障害が治癒した後も,平衡維持が視覚・体性感覚シフトのまま持続しているために視覚刺激や体動による体性感覚刺激で増悪する。自験例187名の平均年齢は50.6歳で,小児例は5名であった。成人例と比べ薬物治療(SSRI/SNRI)が行いにくいことから,難治性の印象が強かった。米国の小児PPPD53例の報告では,診断後1年半経過しても20%で有症状であり,治療後も通学できていない患者が15%存在した。急性めまい後PPPDを発症する危険症例を洗い出すこと,PPPD化を防止する方策を見出すこと,PPPDに対する新規治療を開発すること,が成人のみならず小児においても求められる。