小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム1―小児のめまいについて
小児メニエール病
青木 光広奥田 弘
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2023 年 44 巻 1 号 p. 38-43

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抄録

メニエール病の平均発症年齢は44歳であり,小児発症は極めて少ない。過去の報告では小児めまい例全体の3%がメニエール病と診断されている。小児にメニエール病が発症するにはメニエール病の病態である内リンパ水腫が早期に形成される必要がある。その成因として,遺伝性,自己炎症性,外傷性,中耳炎,内耳奇形などが考えられるが原因不明である。常染色体優先遺伝形式を示す家族性メニエール病は一家族のみの報告であり,複数家族からの報告はない。GJB2,SLC26A4,USH1Gなどのミスセンス変異が報告されているがいまだ確定されたものはない。前庭水管拡大症,外リンパ瘻,前庭片頭痛などは鑑別すべき疾患である。本報告では中耳炎手術後に発症したメニエール病例を報告する。脱水回避,食生活,睡眠環境の改善に加えて,浸透圧利尿剤(イソソルビド:2 mL/体重kg)により,めまいは制御されたが聴力は徐々に悪化している。

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© 2023 日本小児耳鼻咽喉科学会
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