令和2–4年度に実施された厚生労働省『難聴児の支援に関する調査研究』(PwCコンサルティング合同会社)では,就学以降の難聴児のフォローアップは地域の学校やろう学校によるところが大きく,医療機関からの十分な支援が行き届いていない現状が明らかとなった.また,同期間のAMED研究『聴覚障害者の社会参加を促進するための手法に関する研究』(研究代表者:九州大学 中川尚志先生)で「聴覚障害者の就労支援・就労継続支援」の研究を実施しており,聴覚障害者は就職しても離職や転職を繰り返すことが多く,就労年齢に達してからのみではなく,就労前段階でのスキル獲得のための支援が重要と考えられた.
本稿では,こうした先行研究の内容を紹介するとともに,就学期にある難聴児における地域での多職種連携での療育の取り組みや,現在実施している就労・就労継続についてのAMED研究など,我々の取り組みについても解説する.