2024 年 45 巻 1 号 p. 6-9
小児慢性特定疾病をはじめ,多くの慢性疾患を抱えた子ども達が治療の進歩により成人期をむかえることができるようになってきた.このような状況の中で必要とされる成人移行支援は単なる転科ではなく,成人科への円滑な橋渡しや,慢性疾患を抱えた子どもと家族の自律(自分で決める)・自立(自分で行なう)支援を行ない自己管理能力をつけることであり,社会福祉制度の支援も含み,その子と家族の将来のために最善をつくすことと考える.しかし実際は移行支援がスムーズに行く例と困難な例がある.スムーズに行く例は成人科でも診療している糖尿病や甲状腺疾患,てんかん等であり,最も困難な例が医療的ケア児,重症心身障害児である.成人移行支援は,子どもの疾患の診断が確定した時から始まることを意識し,成長・発達段階に応じて継続的に患者と保護者に支援を行ない,特に移行が困難な例では院内外の多職種が連携して支援を行なうことが重要である.