2026 年 47 巻 1 号 p. 7-12
小児期にアデノイド及び口蓋扁桃は生理的肥大がピークとなることから,小児の睡眠時閉塞性無呼吸(OSA; obstructive sleep apnea)の主な要因はアデノイド肥大・口蓋扁桃肥大に伴う上気道狭窄であり,小児OSAではアデノイド切除術・口蓋扁桃摘出術(AT)が治療法として選択されることが多い.しかし,先天性の頭蓋顔面奇形や鼻腔狭窄や巨舌等の口腔形態の関与やアレルギー性鼻炎による鼻粘膜肥厚例,肥満症例,咽頭軟化症例等では,術後も症状が残存することがあり注意を要す.手術適応の検討が重要だが国内にガイドラインはまだ無く,いびきや無呼吸を呈す小児でAHIが5以上かつアデノイド肥大・口蓋扁桃肥大による上気道狭窄を認める場合は,動画や問診票の確認等も加え総合的判断で手術適応とする報告が多い.様々な手術器具による方法の多様化,低年齢児やハイリスク症例で注意すべき周術期管理についても述べる.
小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA; obstructive sleep apnea)は,1–4%程度の小児にみられ1),成長発達にも影響を生じうることから非常に重要な病態であることは言うまでもない.夜間に良好な呼吸で熟睡できているかは,単に睡眠や呼吸の問題に留まらず,夜尿や日中の多動傾向にも関係している場合もある.小児OSA症例の中にはアデノイド切除術・口蓋扁桃摘出術施行後に,いびきや無呼吸の改善以外に夜尿の治癒,多動傾向や起床時の機嫌の改善について保護者から報告を受けることもある.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療を検討する際には,要因の把握が重要で,それにより治療方針が決定される.ここでは,小児OSAの要因,手術的治療や適応について文献的考察を加え検討し,術式選択や手術のハイリスク症例についても述べる.
小児OSAの最も多い要因はアデノイド肥大,口蓋扁桃肥大による上気道狭窄である.アデノイドも口蓋扁桃もリンパ組織なので気道感染時に増大しやすいが,生理的肥大のピークにある幼児期から学童早期は,特にアデノイド肥大・口蓋扁桃肥大によるOSAを生じやすい.アデノイドは上咽頭に存在し5歳頃に向けて徐々に増大する.アデノイド肥大が高度になると後鼻孔を閉塞し鼻呼吸障害を生じて,口呼吸やアデノイド顔貌がみられるようになる.口蓋扁桃はアデノイドに比べやや遅く6~7歳頃に肥大のピークを迎える.従って就学前から小学校低学年の時期にアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大の影響が大きくなり上気道狭窄を呈して,いびきや無呼吸を生じやすくなる.上気道狭窄が高度になると吸気努力が強くなり,胸郭が軟らかい小児では陥没呼吸が出現する.扁桃肥大を伴う症例では仰臥位で気道が狭くなりやすく,側臥位や腹臥位の体位で頸部伸展位をとり,自ら気道が拡がる姿勢を探して頻回な寝返りがみられることが多い.重症例では眠りが浅く中途覚醒し座位のまま寝る児や上半身を隣で眠る保護者の体にのせて寝る児もある.朝は覚醒不良で不機嫌なことも多い.重症度を推測する上で,このような臨床像を呈していないか問診の際に確認することも重要である.
アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大の他に,アレルギー性鼻炎や急性鼻炎,副鼻腔炎等の影響による鼻粘膜肥厚や鼻汁貯留のために鼻呼吸障害を生じ,いびきや無呼吸の要因となる例もある.軽症例では鼻炎に対する保存的治療のみで改善がみられることもある.低年齢児,特に保育園児や兄弟姉妹がいる場合には感染の反復がみられることが多く,その影響も大きい.また小学校中学年以降の小児はアデノイドや口蓋扁桃は自然退縮期に入っており,鼻炎等の他の要因も関与する症例が多い.他に狭鼻や巨舌等の鼻腔・口腔形態や顎顔面形態異常に伴う咽頭狭窄,神経筋疾患における筋緊張低下に伴う舌根沈下を主体とした咽頭狭窄や軟化も,いびき無呼吸の要因となりうる.個々の症例ごとにOSAの要因を十分に確認することが重要である.
≪小括≫小児OSAの要因ではアデノイド肥大,口蓋扁桃肥大に伴う上気道狭窄が多いが,他にも様々な要因となりうる病態(図1)があり,複合的に関与する症例もあるため十分に検討し対応にあたる必要がある.

小児OSAの治療法として,アデノイド切除術,口蓋扁桃摘出術が選択されることが多い.では「アデノイド切除術,口蓋扁桃摘出術は小児OSAの第一選択として有効か」,この点について改めて検討したい.
1. 海外のガイドラインや報告(表1)| 米国小児科学会 | 2012年 | アデノイド口蓋扁桃肥大が小児OSAの最もよくみられる理由 ⇒Adenotonsillectomyが第一選択 |
| 欧州呼吸器学会 | 2016年 | 2–18歳まで Adenotonsillectomyが最も一般的な治療法 5<AHIで効果最大 AHI<1でも治癒75% |
| 欧州呼吸器学会 | 2017年 | 1–23ヵ月まで 閉塞性呼吸障害の原因は多因子 AdenotonsillectomyとCPAPの介入が多い |
| 米国耳鼻咽喉科 頭頸部外科学会 |
2019年 | PSGで確認された小児OSAに対して扁桃摘出術を推奨すべきである. (扁桃摘出術に対するガイドライン) |
| 英国胸部学会 | 2023年 | 特に成長期の合併症のない小児のOSAに対してAdenotonsillectomyは有効である. |
2012年の米国小児科学会からの報告2)では,小児OSAの要因としてアデノイド肥大,口蓋扁桃肥大が多いことから,アデノイド切除術,両口蓋扁桃摘出術(AT; Adenotonsillectomy)は小児OSAの第一選択であるとしている.術後のOSA残存が全体では13~29%,肥満児では73%との報告もあるが改善例があることからOSAの第一選択の手術的治療として支持されるとある.部分扁桃摘出術(PT; Partial Tonsillectomy)はマイクロデブリッター等を用いて被膜を残して扁桃実質を除去する術式で,術後疼痛や術後出血のリスク軽減につながり日常生活に戻るのもATより早くメリットもあるが,術後の再増殖のリスクがあり継続した経過観察が必要で,ATとPTを比較した十分な検証がなくATを第一選択としている.
2016年に欧州呼吸器学会から,2歳から18歳の検討が報告された.AT手術によるPSGのパラメーターの改善は5<AHIの症例で最大で,健康で肥満のないAHI<1の小児でも75%で改善を認めたとある3).アデノイド切除術または扁桃摘出術単独とAdenotonsillectomyの有効性を比較した十分な検証はないが,アデノイド切除術後に将来,扁桃摘出術が必要になるリスクは加齢とともに低下し,アデノイド切除術時の扁桃の大きさに比例して増大すると報告している.2017年には欧州呼吸器学会から,1–23ヵ月までの児における閉塞性呼吸障害の原因は,多因子であることが報告された4).頭蓋骨早期癒合症や鼻腔狭窄等の先天的な頭蓋顔面形態異常やピエールロバン症候群のような下顎低形成といった先天性疾患,喉頭軟弱症や気管軟化症,ウイルス性呼吸器感染症等,様々な病態がOSAを生じる要因となる.AT手術とCPAPの介入が多いとあり,2歳未満児についてはアデノイド肥大,口蓋扁桃肥大以外の要因の関与が年長児に比べて多く,年齢で分けて考える必要性を示唆している.
2019年米国耳鼻咽喉科学会頭頸部外科財団から小児扁桃摘出術のガイドラインが提唱され,PSG検査で診断された小児OSA症例に対して扁桃摘出術を推奨すべきと提言された5).
2023年英国胸部学会は,特に成長期の合併症の無い児ではAT手術は有効だが,軽症例では経過観察や保存的治療が適切かもしれないと報告した6).2023年には米国におけるランダム化試験の報告7)がある.AHI<3のいびきと軽度睡眠時無呼吸の3歳~12.9歳459人を対象として行われ,AT手術群(231人)と経過観察群(228人)の12ヵ月後の変化をみると,5≦AHI(中等度以上)のOSAに進行した例は経過観察群が7.2%あったのに対し手術群では進行例は認めなかった.また手術群の小児では,行動,症状,生活の質などの二次的なアウトカムの改善,血圧およびAHIの低下が確認され,いびきと軽度の睡眠時無呼吸の小児に対してもAT手術は効果ありと結論づけている.
2. 国内からの報告2018年の口腔咽頭科学会のシンポジウムにて「小児OSAにおいて第一選択は手術なのか」というテーマで金沢医科大学の酒井により検討がなされた8).そこでは,2002年の海外からの報告で肥満を含む小児OSA症例において75~100%の治癒を認めたことや,他に2012年に報告された5–9歳の464名を対象として実施されたAT手術群と7ヵ月間経過観察群の比較で,行動,生活の質,症状の軽減およびPSG所見の改善はAT手術群の方が経過観察群より有意に大きかったことから,AT手術は小児OSAの第一選択であると結論づけている.尚,この2012年の報告ではPSG所見の正常化は手術群で79%に対し経過観察群で46%と有意に手術群で改善が大きかったが経過観察群でも改善例があることから手術実施にあたり,適応を十分に検討する必要があると言える.
2015年の第116回日本耳鼻咽喉科学会総会で,「扁桃・アデノイドの基礎知識と手術治療に関連する問題点」と題し,当時札幌医科大学の氷見徹夫教授の講演があり手術適応(案)が示された9)(表2).2002年に米国小児科学会から小児OSASの診断・治療ガイドラインが提唱され,その中でAdenotonsillectomyが第一選択とされていることが紹介された.これを受け手術適応についても言及され,診察や検査でアデノイド・口蓋扁桃肥大を認め保存的治療に無効なOSA症例で,かつAHIが5以上の中等度および重度の症例ではAT手術の適応とするとした.またAHIが1以上5未満の軽症症例でも,質問紙OSA-18が60点以上もしくは臨床症状を伴う症例(具体的には,吸気中に胸郭が内方へ向かう異常な動き,体動覚醒,発汗,睡眠中の首の過伸展,日中の過度な眠気,多動,または攻撃的な行動,成長の遅延,朝の頭痛,続発性の夜尿症を伴う症例)では手術適応とすると提唱された.
| 診察,検査でアデノイド肥大,口蓋扁桃肥大を認め,保存的治療の無効症例かつ下記のいずれか(PSG施行例の基準とPSG非施行例の基準) | |
|---|---|
| PSG施行例 | AHI 5以上 もしくは |
| AHI 1以上5未満 で 1)かつ2) 1)OSA-18 60点以上 2)臨床症状を伴う(※) |
|
| PSG非施行例 | 簡易モニターで最低酸素飽和度が90%未満で臨床症状を伴う |
| 動画で2呼吸分の呼吸停止,陥没呼吸があり臨床症状を伴う | |
| OSA-18 60点以上 | |
(※)臨床症状;吸気中に胸郭が内方へ向かう異常な動き,体動覚醒,発汗,睡眠中の過伸展,日中の過度眠気,多動,または攻撃的な行動,成長の遅延,朝の頭痛,続発性の夜尿症
小児OSA症例において,AT術後の症状残存が全体で13~29%,肥満児で73%と海外から報告があったが,残存症例についてはアデノイド・口蓋扁桃肥大以外に肥満や鼻炎,他の気道狭窄部位の併存等,他の要因の関与が示唆される.部分的な効果でも術前に比べOSAの軽減を認める点で手術は有効とされたが,十分な手術効果を期待するには,手術適応の見極めや周術期管理が重要となる.
現状では確立した手術適応の基準はなく,諸家の報告10–12)がある(表3).いずれの報告も,診察,検査,OSA-18の質問紙,保護者撮影による睡眠時の呼吸状態,併存症の存在等を考慮し総合的な判断としている.
| 千葉伸太郎 | 2016年 日耳鼻総会臨床セミナー |
臨床症状でOSA疑い アデノイド・口蓋扁桃肥大あり ⇒睡眠検査 ⇒10<AHI 重度ではAT手術 軽中等症では保存的治療 無効ならAT |
| 仲野敦子 | 2017年 (MB ENT) |
睡眠時無呼吸症状があり, OSA-18で60点以上 アデノイド肥大・口蓋扁桃肥大を認め, 保存的治療が無効な症例 |
| 安達美佳 | 2020年 (JOHNS) |
アデノイド・口蓋扁桃肥大を認める小児OSAで 5≦AHI ⇒ AT 1≦AHI<5 ⇒ 保存的もしくはAT手術 手術時期決定には年齢・重症度・合併症で個別に判断 AHIに関わらず早急に治療必要な例もあり |
(敬称略)
小児OSAでは,要因となる狭窄部位の確認や重症度,年齢や体格が治療の方針決定にあたり重要となる.保護者撮影の動画も睡眠時の呼吸状態を把握するのに有用である.顔面から胸部までの撮影で陥没呼吸の有無も確認でき,重症度の推測にも役立つ.正確な判定が必要な場合や,訴えと診察所見や検査結果に乖離がある場合には,PSG検査等で評価を行う.感染や鼻炎合併例では保存的治療を優先する.保存的治療無効例でアデノイド・口蓋扁桃肥大による上気道狭窄を認める場合は,軽症でも手術による効果を認めることがあるが,特に5≦AHIのような中等症以上ではAT手術を推奨する報告が多い.
1. 低年齢児の術式選択と周術期管理の注意点当科では1歳未満の場合,感染を契機に増悪した症例が多いことから保存的な経過観察が可能な場合には感染による影響が消失後に再評価としている.無呼吸頻回等で保護者の不安が強い場合は,入院の上モニターを装着し呼吸状態の確認を行う.いびき無呼吸が顕著な例では,早期に肥大したアデノイドによる後鼻孔閉塞(図2a)を認めることも多く,Nasal Airway挿入で改善がみられるか確認する.Nasal Airwayの効果があり留置可能な症例では,経過観察し待機的に手術を検討している.0歳児で無呼吸頻回,陥没呼吸等の吸気努力を強く認める症例ではアデノイド肥大口蓋扁桃肥大以外にも要因がある場合もあり注意が必要である.入院での経過観察を行いSpO2の低下が顕著な場合は酸素投与や,アデノイド肥大の縮小を期待しステロイド投与(リンデロンシロップ® 1.5 ml/Kg/分2~3内服)を行う.保存的治療を行ってもアデノイドが縮小せずNasal Airwayの留置が困難な0歳児に対してはアデノイド切除術のみ実施している.その場合は,術野でNasal Airwayを挿入し必要時には集中治療室で手術当日の経過観察を行えるよう準備している.1歳前後のOSA症例で扁桃肥大を認める例の中には感染による一時的な肥大である例もあり,一旦は保存的治療やNasal Airway挿入で経過観察を行い,1歳2ヵ月以降にAT手術を実施している.乳幼児の咽頭は狭く(図2b),上気道下気道ともに狭いことから,術後の出血や創部周囲の腫脹による影響が大きく重篤な状況を生じかねない.軽症例では,成長を待って手術を実施する方がより安全である.3歳未満児や年齢に比し体格が小さい児では気道が狭く,特に術当日から翌朝までの気道確保に対する注意は重要である.当科では症例によりNasal Airway留置や抜管せず気管挿管のまま一晩経過観察を行うことがある.気管挿管での術後管理は集中治療室(ICU)で行う.3歳未満児や合併症のあるハイリスク児の場合,手術の侵襲や合併症だけでなく,上気道・下気道ともに狭く抜管後の呼吸状態安定までに時間を要す場合もあり,ICUで経過観察を行えるように準備している.特に気道狭窄症例等では気管挿管のまま一晩ICUで観察を行い,翌朝創部を確認後に抜管している.口蓋扁桃は小さくアデノイド肥大のみの場合はアデノイド切除術のみ実施する例もあるが,生理的肥大のピークを迎える前の幼児では術後に扁桃肥大が出現しOSA再発リスクがあるため,Adenotonsillectomy(AT)を基本としている.咽頭所見や特性等の背景を考慮し,症例ごとに手術的は総合的に判断している.

a 高度なアデノイド肥大(矢印)による後鼻孔閉塞
b 狭い咽頭(1歳児)(矢印;口蓋垂)
学童期以降の年齢が高い児では,アデノイド・口蓋扁桃肥大以外の要因,アレルギー性鼻炎による肥厚性鼻炎や鼻中隔弯曲症の影響や肥満等の体格の影響が大きい症例も多い.保存的治療のみでも改善する例があるが,保存的治療無効例でいびき無呼吸が継続しアデノイド・口蓋扁桃肥大による上気道狭窄症例に対してはAT手術を行う.一旦軽快するも術後に再びいびき無呼吸を認める症例では,鼻炎や肥満,口腔形態等による影響を認めやすく,鼻炎の治療や体重コントロールも重要となる.多くはないが,術後PSGを行いCPAP導入や鼻科手術の検討を要す例もある.
3. 顎顔面形態等の異常を伴う場合アペール症候群等の顎顔面形態異常がある上気道狭窄症例の中で,アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大を伴うようになって初めていびき無呼吸が出現する例では,前述した低年齢児と同様な十分な周術期管理の元にAT手術を実施することで改善例も経験する.しかし,顔面中央部の低形成を伴う頭蓋骨早期癒合症例や下顎低形成症例でATのみでは効果が不十分な場合や,アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大を認めない場合には,咽頭腔を拡大させるために顔面骨に対する手術について形成外科医への相談やCPAPの導入を検討する.
4. 手術的器具による術式の違い近年手術器具の多様化に伴い,新たな術式も登場している.ベックマン輪状刃やラフォース式咽頭扁桃切除器を用いてアデノイドを切除し口蓋扁桃は被膜ごと摘出するのが従来法であるが,明視下パワーデバイスによるアデノイド切術術・口蓋扁桃摘出術(Powered Intracapsular Tonsillectomy and Adenotonsillectomy: PITA)も行われている.PITAは内視鏡観察下にマイクロデブリッターにてアデノイドを切除,口蓋扁桃の被膜は残して実質のみ除去するという手術法で,術後疼痛や出血のリスクが軽減されるというメリットがある一方で扁桃炎併発症例では再発の懸念があり手術の適応に注意する.他にもコブレーターやサクションコアギュレーターを活用した手術の報告がある.
手術の主なハイリスク症例には,頭蓋顔面奇形を呈する症候群や鼻腔・口腔形態に伴う気道狭窄症例や小顎,咽頭軟化症の合併例等の元々気道が狭い状態を呈する小児や,翼状頸や短頸,狭小な開口等による気管挿管困難例がある(表4).肥満症例も気道が狭くなりやすく全身麻酔のリスクも高いためハイリスク症例である.ハイリスク児に対し安全な手術や周術期管理を行うには,小児麻酔に精通した麻酔科医やハイリスク児の管理に慣れた集中治療科医,看護師との連携が重要となる.
| 気道狭窄症例 | 頭蓋顔面奇形 | 頭蓋骨早期癒合症(アペール症候群 Crouzon病等) 軟骨異栄養症 ムコ多糖症 トリーチャーコリンズ症候群等 |
| 鼻腔形態の問題 | 狭鼻症例 | |
| 口腔形態の問題 | 巨舌を伴うダウン症 等 | |
| 咽頭の脆弱性 | 咽頭軟化症 神経筋疾患症例 等 | |
| 気道狭窄 及び 気管挿管困難 |
小顎 | ピエールロバン症候群 トリーチャーコリンズ症候群 等 |
| 気管挿管困難 | 翼状頸 | ターナー症候群 ヌーナン症候群 |
| 脆弱性 | 気道の狭小化 咽頭軟化 等 |
低年齢児 低体重児 ダウン症 等 |
| 術後管理困難 | 指示理解や点滴保持・安静困難 | 発達障害やコミュニケーションの課題を抱える児 等 |
| その他 | 凝固異常 等 | 血友病 肝障害 等 |
小児OSAの重要性は高く,アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大が主な要因となることから,アデノイド切除術・口蓋扁桃摘出術が実施され効果を認めることも多い.しかし他の要因が関与する例やハイリスク症例もあるため,安全に手術が実施され十分な治療効果を得るためには,手術適応の基準が示されることが望ましい.小児OSAに対するガイドラインは国内で確立したものは無く,少しでも多くの小児OSA症例が安全に十分な治療効果を得られるよう,ガイドラインの作成が待たれるところである.
利益相反に該当する事項:なし