抄録
本稿では、地域福祉の課題の一つである廃校の発生について、岩手県一関市を対象に、昭和56年の
建築基準法新耐震基準以降に廃校になった校舎の状況を整理し、利活用の現状について調査した。そし
て校舎周辺の建築物総数を集計して、利活用の状況の違いによる総数の差を統計的に判定した。具体的
には住宅地図を使用し、校舎を中心に半径900mを範囲として校舎ごとに集計した。結果、一関市の廃
校の活用状況については、60校のうち、何らかの形で利用されている校舎は45校、そのうち常に人が
いる形で活用されている校舎は30校であった。校舎が取り壊されて活用されているものは2校、全く
活用されていない校舎は15校であった。校舎周辺の建物種別については、「非常駐施設」と「学校」の
組み合わせで差がある可能性が示唆されたが、サンプル数の少なさや集計方法の課題などから積極的に
主張できるレベルには到達していないと判断された。しかしながら、差がある可能性を有するかもしれ
ないということから、今後、より研究を精緻化する必要があるということが結論づけられ、併せて廃校
舎を活用した地域拠点の再整備が地域の福祉力を向上させる可能性を持つということについても検討す
る必要があると主張された。