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本研究の目的は、我々が提案している非線型フィルタESDSを静止画像に重畳したインパルス性雑音の除去に応用することである。ESDSはこれまで移動ロボットの測距センサによって得られる距離信号に対して適用されてきた。そして信号成分のエッジを保存しながらインパルス性雑音の除去を行なうことが確認されている。ESDSは扱う信号系列の信号値の傾向(トレンド)から平滑値の推定を行なう。従って画像のステップエッジ部分においてメディアンフィルタのように全く誤った画素を出力として選択することが無い。そこで本研究ではこの特徴を生かし、ESDSをインパルス性雑音検出器に用いた画像復元システムを構築し、画像の復元を行なった。そしてこのフィルタが雑音の発生率の低い画像を対象とした画像復元において、特に画像の線状の部分の復元に有効である事をシミュレーションにより確認した。