室内環境
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調査資料
仙台市の家庭における冬季室内二酸化窒素濃度の調査
鈴木 義史橘 謙太丸尾 容子柳沼 優菊池 蓮中野 智保
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2016 年 19 巻 2 号 p. 121-130

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抄録

本調査では,仙台市の家庭において冬季室内の二酸化窒素(NO2)濃度を測定した。測定には多孔質ガラスを基板としたセンサを用い,ジアゾカップリング反応による比色反応を用いてNO2濃度の算出をした。測定したNO2濃度とアンケートによる調査から,仙台市の家庭の特徴とNO2濃度の分布を比較し,NO2の発生要因を考察した。
結果として,全体で99家庭のNO2濃度とアンケート調査による回答を得た。500 ppb以上のデータを例外値として除外し,95家庭のNO2濃度平均値は91.6 ppbであり,環境省のNO2に係る環境基準値(60 ppb)を53.7%の家庭が超えていた。石油ファンヒーターや石油ストーブを用いていた家庭では,NO2濃度の平均値が139.0 ppb,150.9 ppbと環境基準値の2倍を超えており,それぞれ81.8%と80.0%の割合で環境基準値を超えていた家庭が存在した。また,24時間換気設備のある家庭では,NO2濃度の平均値が59.5 ppbと環境基準値を下回っていた。
調査結果から,室内の換気はNO2濃度を減らす方法として有効であると考えられた。また,NO2は燃焼系の暖房器具から発生し,換気が不十分な室内ではNO2が高濃度で存在することが確認された。冬季において仙台市は他の地域と比べて,NO2が高濃度で室内に存在するという傾向が見られ,室内換気に関する注意が不足していると考えられる。

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© 2016 一般社団法人 室内環境学会
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