室内環境
Online ISSN : 2186-4322
Print ISSN : 1882-0395
ISSN-L : 1882-0395
解説
室内環境の微生物に関わる最近の話題(3)
建物のコンクリート壁面におけるカビ汚染と対策
齊藤 智
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 22 巻 2 号 p. 191-199

詳細
抄録
建物の屋内や半屋内のコンクリート壁面の真菌の調査を行った。半屋内の地下駐車場の壁面では, Cladosporium属が最も高頻度に検出され, Devriesia属と同定された非常に生育の遅い真菌も検出された。夏季に結露が生じて高湿度環境になりやすいコンクリート壁面では, Aspergillus属, Engyodontium属が優占種として検出されることがあった。Cladosporium属の繁殖が確認されたコンクリート壁面で, その胞子の飛散性を調べたところ, ちょっとした風(風速2~3 m/s)では飛散せず, 水の散布や物理的にこする事象によって飛散が確認された。コンクリート壁面の付着真菌数は, 壁面表面温度と気温の差が大きくなる夏に増えることが明らかになった。洗浄による付着真菌の除去では, 水での洗浄よりも, アルコールや次亜塩素酸系洗剤を使った洗浄の方が除菌効果が高く, また効果が長続きした。 防カビ剤による付着真菌の防カビ効果では, 処理後3年経っても効果が認められる防カビ剤があったが, 6年経過すると, その効果が薄れてくることが確認された。
著者関連情報
© 2019 一般社団法人 室内環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top