抄録
化学物質過敏症は, 環境不耐症ともいわれ, 低濃度の化学物質に曝露に関係した多臓器にわたる非特異的な症状をもつ病態として定義されている。本論文では, 産業衛生における化学物質過敏症の現状に関し, 1) 最近12年間の3社における質問紙(Quick Environment Exposure Sensitivity Inventory (QEESI))を用いた化学物質過敏症の頻度推移 2) 化学物質に関する法律と労働災害の認定 3) 労働現場で発生した化学物質過敏症に関する裁判判例 の3点について解説した。