抄録
一般家庭7世帯を対象とし, 生ゴミ臭に寄与するにおい成分の探索を行った。 官能評価の結果, 生ゴミ臭を連想して最も臭気強度が高く感じたサンプルAは, GC/MSで分析した結果, 主成分はエタノールと酢酸エチルであった。 しかし, 一般的に両者は生ゴミ臭を連想する成分でないことから, におい嗅ぎGCにより探索したところ, GC/MS分析だけでは検出できていなかったジアセチル, 3-メチル-1-ブタノール, 酢酸, イソ酪酸を同定することができた。 サンプルA~Gについてこの4成分の含有量および閾希釈倍率を算出したところ, ジアセチル, 3-メチル-1-ブタノール, 酢酸が共通して存在し, これらの成分のうち最も閾希釈倍率が大きい成分はジアセチルであることがわかった。 この結果から, 生ゴミ臭に寄与する成分の一つはジアセチルであることが推定された。 サンプルA~Gに含まれるジアセチルのうち, 最も閾希釈倍率が大きいサンプルはDであったが, 官能評価の結果では臭気強度が高く感じた試料はAであった。 以上より, 生ゴミ臭はジアセチルを基盤として, その他の成分の共存が臭気強度に影響することが推定された。