建築物及び住宅などの一般空間における浮遊粉じんについては, オフィスビルなどの建築物では従来のたばこ煙によるもの, 住宅においては燃焼器具や調理など発生源は多岐にわたる。 室内における浮遊粉じんの基準値は, 建築物衛生法により建築物環境衛生管理基準として, 0.15 mg/m
3以下とすることが定められているが, 他の法律等において空気環境に関する基準値はない。 また, 住宅については特に規制はない。 一方, 室内環境において究極に清浄な空間として, 半導体や液晶パネル, 医薬品や食品を製造するクリーンルームがあり, 粒子濃度により表現される清浄度クラスが規定されている。 そこで本報告では, 一般室内及びクリーンルームにおける浮遊微粒子に関する室内空気汚染及び研究動向について概説するものである。 まず, 海外のレビュー論文を元に一般室内における過去から現在までの室内空気汚染の変遷より, 粒子状物質など室内の分煙・禁煙により室内濃度レベルが低減していることを述べた。 さらに, 室内環境におけるPM
2.5について, 既往研究における室内発生源と実測調査より概要を示した。 建築物内の室内浮遊粒子の粒径別質量濃度の状況は, 粒径0.2-0.3 μmと4 μmにピークを有する二峰型となっていること, 住宅室内においては調理によりガス調理器, オーブントースターの利用でPM
2.5及び粒径30-50 nmの超微粒子の発生が認められたことを述べた。 また, クリーンルームにおける浮遊微粒子の清浄度の考え方についても述べた。
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